海外長期積立投資を行っている人はドルコスト平均法という用語を聞いたことがあると思います。「ドルコスト平均法によってリスクが軽減できる」という謳い文句でオフショア投資の商品の紹介をされたと思いますが、イマイチドルコスト平均法について理解できていない方も多いのではないかと思います。
ここでもう一度ドルコスト平均法について確認しておきましょう。
1. ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは、「一定期間中、継続的に一定の金額で金融商品(株など)を購入する投資手法のこと」を言います。
一定の金額で購入するので、株価が上がれば購入できる株は少なくなってしまいますが、株価が下落すれば多くの株を購入することができます。
2. ドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法の特性からメリットとして以下のような説明をされていることが多いです。
- 初心者でも簡単に投資ができる
- 一定額で定期的に購入していくことで平均購入単価を安くすることが可能になる
- 価格変動のリスクを減らすことが可能になる
- 株価が下落しても好意的に捉えることができる
ドルコスト平均法は毎月同じ金額だけ投資をすれば良いので、株価の変動を気にする必要がありません。機械的に継続できるという点で、初心者でも簡単にできると言われています。
また、初心者からすると株価が下がると心理的に不安になりやすいですが、ドルコスト平均法では株価が下がったときに多くの株を購入できるので、心理的にも不安要素を軽減できるというメリットがあります。
投資商品によっては少額から始めことが可能ということで、まとまった資金がなくても投資ができるというのもメリットになります。
3. ドルコスト平均法のデメリット
一定の金額を継続して投資することで平均購入単価を安くできるということはありますが、一方で、株価が下がったときに大量に買うことができないというデメリットもあります。成功している投資家は株価が安いときに大量に買って、高くなったら一気に売って稼いでいます。
初心者でも負けにくい投資の方法ではありますが、一般的にイメージされているような投資で大勝ちということは起きにくいのがドルコスト平均法です。
また、小さい金額を長い期間の時間をかけて投資するので、複利効果を実感できるのも遅くなります。30年の長期投資を行ったとしたら、複利効果を実感できるのは半分過ぎてからと思っているくらいがちょうど良いかもしれません。
そのため、あらゆる状況の変化で最初に決めた投資額を数十年間継続して投資できないという人も非常に多く存在します。30年間の間に何が起こるかわかりません。30年間継続できるかどうかも、誰にもわからないのです。
一括買いに比べて手数料が高くなってしまうというのもデメリットでしょう。
4. ドルコスト平均法と一括売買の比較
ドルコスト平均法の説明をされるときに、株価が下がる前提で話が進んでいるのですが、実際には株価は下がるだけではなく様々な変動があります。場合によっては一括売買の方が有利になることもあり、ドルコスト平均法が万能ということではありません。
どのようなケースでドルコスト平均法が有利になるのか見ていきましょう。
(表)
5. ドルコスト平均法とオフショア投資
ロイヤルロンドン、フレンズ、ハンサードなどで長期積立投資を行っている人は、このドルコスト平均法で投資が行われていますが、このドルコスト平均法は投資を継続し続けることが重要です。
途中で停止したり減額をしてしまうと、ドルコスト平均法の「“継続”して“一定金額”の投資」ができなくなり効果が薄れてしまうこともあります。
また、ポートフォリオを組んでいるのはご自身ではなくてIFAが組んでいると思いますが、そのIFAが優秀でなければマイナス運用になってしまうこともあります。
毎月一定の金額を機械的に投資すれば良いのは確かですが、だからと言って全てを丸投げにするのは、話が違ってきます。
オフショア投資を行なっているのであれば、あなたは紛れもなく個人投資家です。自分がどのような投資をやっているのかだけでも、最低限知っておくべきでしょう。
5-1. ドルコスト平均法を過信しすぎていないか
ドルコスト平均法という手法は一つの投資法ですが、必ずしも有利であり万能の手法というわけではありません。話の切り口によって初心者でも簡単に投資ができるように有利見せることができてしまうので、投資を軽視してしまう人が続出してしまいます。
そのため、いかにもドルコスト平均法が有利かのようにそれっぽく話をまとめられてしまうので、多くの人が自分に合っているかどうかも吟味しないで投資を始めてしまっています。
一番良くないのは、うまい話に乗せられて悪徳な業者や紹介者を通じて商品を購入してしまうことです。自分に投資リテラシーは無いけれど、初心者でもできるというドルコスト平均法を過信しすぎている節もありがちです。
ドルコスト平均法が悪いというわけではなく、全てフラットで考えて投資の最低限の知識を取り入れてから、もう一度のやっている投資について見直すことをお勧めします。