海外積立投資の話を聞いた方は、
「複利運用されるから25年後には1億円になる」
「複利運用なら7年積立をすれば倍になる」
というような説明をされているとおもいます。
この話を聞くと、「資産運用はすごいものだ」と思うかもしれませんが、この話を鵜呑みにしてしまうのは危険です。複利については誤解されていることが多いです。
今回の記事では、複利運用の誤解と複利の効果の真実を解説していきます。
1. 複利と単利の違いとは?
まず複利の効果を知るにあたっては「単利」と「複利」の概念を知っておく必要があります。この違いについてはセミナーや説明会などでグラフを用いて説明されたことがあると思いますが、もう一度おさらいしておきましょう。
1-1. 単利
単利とは、当初預けた元本に“のみ”利息が付くことを言います。
例えば、あなたが単利で年利10%の銀行に200万円を預けていた場合、200万円に対して利息が付くのでそのお金は1年後には220万円になり、2年後も200万円に対して10%の利息が付くので240万円になります。
1-2. 複利
一方、複利とは運用で発生した利息も元本に含めて利息が付くことを言います。
例えば、“複利”で年利10%の銀行に200万円を預けていた場合、1年目は220万円ですが、2年目は220万円に対して10%の利息が付くので242万円になります。ここで単利との差を見ると2万円の違いですが、10年、20年と複利効果を受けていれば、その差が非常に大きくなっていくのです。
単利と複利の違いを表にまとめました。
※年利10%の銀行に200万円預けていた場合
年数 | 単利(万円) | 複利(万円) |
1 |
220 |
220 |
2 |
240 |
242 |
3 |
260 |
266 |
4 |
280 |
293 |
5 |
300 |
322 |
6 |
320 |
354 |
7 |
340 |
390 |
8 |
360 |
429 |
9 |
380 |
472 |
10 |
400 |
519 |
10年経過した段階で単利と複利では約120万円の差がつきました。これが15年、20年と経過していくとその差は一目瞭然になっていきます。
このように実際の数字をみても10年後には大きな差になっていることがわかると思います。
2. 「複利」の勘違い
複利運用の話を聞くと、非常に夢のある話だと思い複利効果は素晴らしいと思ってしまうかもしれません。この複利効果を使えば、「毎月5万円、30年間積立をすれば数億円になる」という話もあり得ないわけではありませんが、現実的にはあり得ないような話なのです。
複利とは運用の方法ではなくて、計算方法の一つに過ぎません。複利計算すれば実際に30年後に数億円という話は可能ですが、その計算通りに実際に運用できるかどうかは別の話になります。
毎年10%の利回りを出すようなスーパートレーダーは中々いなく、10%を割ることもあれば、場合によってはマイナス運用になってしまうこともあります。プラスで複利なのであれば、マイナス方向での複利のあります。
2-1. 長い目で見れば高利回りが期待できる
オフショア投資は、見慣れたグラフのように等比級数的に右肩あがりで増えていくこともありますが、リーマンショックのようにバブルが弾けることもあります。諸々ありますが、20年以上の長期的な期間で見れば5~7%の利回りが期待できるということです。
しかしそれでも高いリスクで運用していることをしっかりと認識しましょう。将来のリターンが大きいということは、その分高いリスクが潜んでいるというのは、日本の商品だろうが海外の商品だろうが変わりはありません。
2-2. 複利効果で1億円を達成するには?
複利効果で1億円達成するためには先ほど挙げたように利回りの影響がありますが、毎月必ず10%以上の利回りを出すことが前提です。
それにプラスして「満期まで一回も休むことなく外貨建てで5万円相当の積立をする」ことが条件になります。
毎月5万円の積立を継続しなければならないという話はセミナーや契約の際に聞いているかもしれませんが、実際に30年近く毎月5万円の積立がどのくらい大変なことか考えたことがあるでしょうか?
30年間の間には様々なイベントが発生します。結婚、出産、教育費、医療費などもあれば、事故や急なトラブルが発生することもあるでしょう。
私ごとですが、この5年間の間に2回も入院沙汰のケガをしています。このことを考えると30年間の間に何もないとは考えにくいです。
・円安になることも
30年の間に円の価値はが下がることもあるでしょう。為替の変動によっては最低積立額ですら継続するのが厳しくなってしまうかもしれません。実際の金額の変動もそうですが、円安になるたびに支払いは多くなるという状況に平常心を保てるかどうかも注意点になります。
・定年後はどのように資金を確保するか?
仮に定年が60歳だとしたときに、37歳の人が30年の積立契約をした場合、60歳以降の7年間はどのように積立額を確保するか考えなければいけません。
お勤めをされていた方であれば、今までの収入がなくなったとしても5万円の積立は継続しなければいけません。もし仮にそのように無理のある契約をしてしまった場合、それは身の丈に合っていない契約をしていると言えるでしょう。
・色々なことがあっても平常心でいられるか?
オフショア投資を成功させるポイントは「感情を入れないこと」と言われています。どんなことがあっても満期まで継続して初めて大きなリターンを受け取ることが可能です。
その30年の間には不景気もあればライフイベントもあり、良いこともあれば悪いこともあります。色々な壁が立ちはだかりますが、それを物ともせず平常心で継続できるでしょうか?
これには、鉄の意志を持つか、投資していることを忘れるか、どちらかが必要になるでしょう。
まとめ
当初、複利の説明を聞いたときと、今の複利のイメージは違ったものになったと思います。複利のグラフやシミュレーションを行った表を見ると、表面的にはすごいシステムだと思うかもしれません。現にアインシュタインも最大の発見だと言ったようです。
しかし、それをオフショア投資に応用して考えたときに、あらゆるリスクを考えると必ずしも素晴らしいとは言い切れなくなります。
今まで「複利運用」という間違った解釈をしていたならば、この機会に改めて自分のオフショア投資を見直してみてはいかがでしょうか。
合わせて、他の基礎的な知識も理解しておくことをおすすめします。