初期口座と貯蓄口座の役割【海外積立のキホン】

海外積立型投資のキホン情報。今回は「初期口座」と「貯蓄口座」の概念を解説していきます。

この初期口座と貯蓄口座は、積立を行う上では必ず理解しておかなければならない内容ですが、実際に積立を行っている人の中には、この2つの口座の存在を知らずに積立を継続している方も多いです。

「全てIFA、代理店に任せているから問題ない」

と思っている方もいるようですが、口座の役割を知った上で任せているのと、何もわからないから丸投げをしているのとは、全く異なります。

今回解説する初期口座、貯蓄口座についてに限らず、海外積立の基本的なことは契約の際にIFAや代理店から説明を受けているはずですが、もし仮に説明を受けていないのであれば、自分がどんな投資をやっているのか、知っておくべきです。

しっかりと情報を取り入れることで、「とんでもないものを契約してしまったかもしれない」と気付くこともあります。

1. 投資管理口座の仕組み

海外積立で投資していくファンドは通常は大口の投資しか受け付けていないのですが、各プロバイダーの預かり金が大きいため、個人でも投資できるような小口の口座を提供しています。

その積立をしていく口座を「投資管理口座」と言います。

その投資管理口座は通常

  • 初期口座
  • 貯蓄口座

の2つの口座からなり、それぞれの役割が異なります。

積立年数に応じて初期口座の期間は異なり、18~36ヶ月で組まれますが、聞き覚えがあるのは24ヶ月ではないかと思われます。

2. 初期口座の役割

初期口座(Initial Account)は投資の初期から一定期間積立を行う口座で、投資の基盤となる口座です。

商品の説明を受けるときに「最初の2年間は積立金額の変更できない」「最初の2年間は継続して積立をしないといけない」と言われたのではないかと思いますが、それは初期口座期間のことを指します。

2-1. 初期口座の決まり

この初期口座ですが、契約時の説明ではとりあえず2年間は積立を継続すれば良いと解釈されている方が多いですが、実は初期口座に関しての条件は他にもあります。

・満期まで引き落とすことはできない

「2年目以降は銀行口座のように自由に引き出しすことが可能になる」という説明があったかもしれませんが、自由に動かすことができるのは後述する貯蓄口座の方で(厳密には自由ではなく条件があります)、初期口座からは満期まで引き落とすことはできません。

・初期口座期間中は減額不可

初期口座が終了して貯蓄口座が始まれば積立金額の増減は可能になりますが、初期口座期間中は積立額の減額はできません。

・初期口座に発生する手数料

初期口座には毎年6%の管理手数料が発生します。この料率は非常に重い上に、満期になるまで手数料が発生します。初期口座に入金されているお金に対してのみ発生する手数料なので、積立を継続していけばしていくほど、全体の手数料の比率としては下がっていきます。

しかし、初期口座が終了した段階で積立を停止してしまうといつまでも6%の手数料が重くのしかかってきてしまいます。

・解約手数料

初期口座期間中に仮に積立継続が困難になり解約をするとなっても、それまでに初期口座に積立をした金額は戻ってきません。解約手数料が100%発生するとこになります。

海外積立は最初に多く積立をした方がその後有利になる、と説明されて、いきなり大きな金額を投資し始めた方もいるかと思いますが、初期口座期間終了前に体力不足になり解約をしてしまうと、非常に大きな損失になってしまいます。

また、初期口座期間が終了して貯蓄口座に突入してから解約をする際には解約手数料が発生しますが、その手数料は非常に高い料率が設定されています。

ハンサードの場合は初期口座の100%、ロイヤルロンドンの場合は残契約年数に応じて変動がありますが、以下の表のように非常に高い料率となっています。

3. 貯蓄口座の役割

続いて貯蓄口座ですが、初期口座期間が終了したら貯蓄口座へ積立が始まります。例えば初期口座期間が24ヶ月だとしたら、積立25ヶ月目からは貯蓄口座へ積立が始まります。

貯蓄口座は初期口座と違って自由度が高くなっていきます。契約の説明であったと思いますが、増額、減額、一時停止、引き出し(取崩)などができるようになります。

海外積立型の投資の説明で「貯蓄口座は日本の銀行口座のように自由に扱うことができる」という解説をされている人もいますが、実際はそこまで自由に扱うことはできません。

各手続きをする際には手続き書類を取り寄せて英語で記入しプロバイダーまで郵送しなければいけません。IFAのサポートが充実していれば各手続きもスムーズに行うことができると思いますが、アフターサポートがずさんな業者だったり、そもそも詐欺業者を通して契約してしまった場合はどこに連絡をすればいいかわからず、にっちもさっちもいかないということにもなりかねません。

4. 貯蓄口座をいかに増やすかが、積立型投資のポイント

ここまでの解説で「なにがなんだか、わからない」という方は、健全な契約をしてないことが考えられます。初期口座と貯蓄口座は基本的な構造なので、これをわからず契約をしているのは投資ではなくて単に「ギャンブル」をやっていることと変わりません。

あなたの資産の損失を限りなく少なくするために、“解約”を視野に入れた契約の見直しを強くお勧めします。

話は逸れてしまいましたが、上記の解説のように初期口座には大きな手数料や縛りがあります。なので初期口座に期待をしてはいけません。初期口座を人質に資産運用をしていると思ってください。

つまり、貯蓄口座にいかに資産を貯めていくかが積立型投資のポイントになりますが、貯蓄口座のお金が増えていけば相対的に初期口座の手数料も下がっていきますが、貯蓄口座にお金がなければ全体では高い手数料のままになってしまいます。

4-1. 減額、停止、引き出しをやったら不利になる

「2年目以降は減額や停止が自由にできる」という話は、投資する側にとっていい話のように聞こえますが、減額、停止、引き出しをやればやるほど、いつまでたっても貯蓄口座にお金を貯めることができず、運用は不利になってしまいます。

そもそもオフショアでの資産運用は、満期まで継続して積立をすることでリスクヘッジが可能になり大きなリターンが見込めるという商品なので、減額、停止、引き出し等は前提に考えてはいけないのです。

もしあなたが、契約するときに「途中で解約しよう」とか「停止しよう」と考えて契約をしているなら、そもそもの考え方が間違っています。わけのわからないギャンブルに毎月数万円も数十万円もつぎ込んでいることとなんら変わらない、ということを自覚しましょう。

5. 説明と話が違うと思ったら…

積立型投資は満期まで確実に、そして地道に積立ができること、かつ、無理のない範囲の金額であることが重要です。老後のための資産形成をしようとしているのに、現在の生活が危ぶまれるようでは本末転倒です。

当サイト「海外ファンド解約110番」を読んで、当初の説明を違う…。もしくは、このような説明を受けた覚えがない…。という方は、

  • 身の丈に合っていない契約をした可能性
  • 詐欺業者を通して契約をした可能性

が非常に高いです。

今はまだ余裕があるかもしれませんが、取り返しのつかないことになる前に、一回海外積立の幻想を捨てて、白紙にした状態で今後どうするのかを検討することをおすすめします。