オフショア投資とは?本来のあり方と見直すタイミング

2010年頃のオフショア投資ブームに乗って、多くの人が長期積立型の商品を契約しました。日本では消えた年金問題などもあり、日本政府に老後のことは期待できないということで、老後に備えて個人で積立をはじめた方も多いのではないかと思います。

そのオフショア投資も契約をしてから一定の期間が経ったところで、自分の口座はどうなっているのか?と不安になっている人も多くいます。積立が継続できずに停止をしている人や、騙されて契約をしてしまい泣く泣く解約をしている人もいます。

なぜ、多くの日本人がオフショア投資で騙されたり、不安になったりしてしまうのでしょうか?

この記事では、オフショア投資の基礎情報を解説します。積立の継続が難しくなっているとか、自分の投資は大丈夫なのか、不安になっている方は見直すタイミングにしていただければと思います。

1. オフショア投資とは?

金融の世界で「オフショア」とは税金が無い、あるいは無いに等しいほど低い国や地域のことを指します。もともとオフショアとは沖合という意味があり、海上ではどこの国の税金も掛からないという意味合いで言われています。

そのようなオフショア地域で投資することを「オフショア投資」と呼んでいます。

オフショアでは日本では見られないような金融商品がたくさんあり、高利回りの商品もたくさんあるので世界からお金がたくさん集まってきて運用されています。

オフショア地域で有名なマン島やケイマン諸島などは世界的に有名な保険会社が籍を置いています。香港やシンガポールなどもオフショア地域に当たります。

1-1. タックスヘイブンとは?

オフショアと似た言葉で「タックスヘイブン(租税回避地)」という言葉ありますが、税制が優遇されている地域のことを言い、意味はオフショアとあまりかわりません。

2. オフショア投資のメリット

オフショア投資はメリットがあるから積立をしているのだと思いますが、実際にどんなメリットがあるかしっかりと説明されていないかもしれません。ここでもう一度オフショア投資のメリットを確認しておきましょう。

2-1. 国際分散投資が可能になる

日本人はマネーリテラシーが低く、投資についても関心が低い国です。投資商品の種類もそう多くはありません。

一方、世界に目を向けると日本にはないような商品がたくさんあり、世界に自分の資産を分散することができます。日本円だけで資産を保全するのはリスクですが、外貨で資産を持っていることでリスクヘッジになります。

2-2. 税制面

オフショア地域においては税制上のメリットがあります。所得税、住民税、キャピタルゲイン税、インカムゲイン税などの税率が低くなっているため、有利な運用が可能になります。

ただ、日本居住者はオフショア地域で上げた利益は日本で確定申告を行って納税をする義務があります。納税を免れるためには「非居住者」になる必要がありますが、普通に日本に住んでいる以上難しい条件になります。

なので実質的なメリットとは言えないでしょう。

3. オフショア投資のデメリット

オフショア投資はメリットばかりではありません。もちろんリスクやデメリットも発生してきます。

3-1. 言語のリスク

日本人が一番苦労するのは「言語」の問題でしょう。基本的に投資の世界では英語でのやりとりになります。ホームページやパンフレットなども英語表記が基本なので、情報収集も一苦労です。

また、英語の手紙が送られてくることがありますが、何が書かれているかわからないので不安になってしまい、精神的にも堪えてしまいます。

中にはIFAや代理店が日本語訳した資料を作成して説明してくれる場合がありますが、その資料は開くまで参考資料ということになります。正式な資料はプロバイダーが作成した英語の資料が公式となりますので、日本語の資料を呼んだからといって安心はできません。

重要な契約内容も全て英語で書かれています。

  • 解約手数料
  • 手続きの条件やペナルティ

など、その後致命傷になりかねない説明文が英語で書かれています。日本の保険商品であっても説明が難しいところがあります。英語の資料を解読することは思っている以上に難しいということを肝に銘じておきましょう。

3-2. 馴染みのない会社と契約することになる

オフショア投資をする上でプロバイダーやIFAと契約することになると思いますが、基本的に馴染みのないと思います。本当に信用できる会社なのかどうかは自分で判断する以外に手段はありません。

ネットを使ってプロバイダーやIFAの情報をしっかりと調べてから契約をするようにしましょう。

とはいえ、すでに契約をされている方がほとんどだと思います。契約してしまったからいいや、ではなく、契約しているからこそしっかりと会社のことを把握する必要があります。

3-3. 為替のリスク

オフショア商品は基本的に米ドルで運用されています。長期積立型の投資であれば20~30年期間があり、その間に為替の変動は間違いなくあるでしょう。

受け取りタイミングを選べる商品であれば有利な為替のタイミングで戻せば良いですが、少なからず影響はあると思っておいたほうが良いです。

リスクヘッジで海外の銀行口座を受け取り口座にすることも一つの手です。積立と同時にHSBCなどの口座開設を行っている方はリスクが軽減できます。

しかし、海外の銀行は対応は全て英語になります。知らない間にアカウント凍結になっていることもよくある事例なので、海外の口座を開設して終わりではなくて、しっかりと維持することも重要になります。

4. 「個人投資家」と胸を張って言えるか?

オフショア投資をや海外積立をやっているのであれば、それは紛れもなく「個人投資家」です。しかし、個人投資家という自覚がなく、丸投げにしてしまっている人がほとんどです。

本来はしっかりと勉強すべきですが、投資をやる以上は最低限把握しておくべきことがあります。以下の3つのチェックポイントに当てはまるか確認をしてみてください。

  1. 資産運用の目的とゴールが明確になっている
  2. 信頼できるIFAが居て、なんでも相談ができる
  3. 契約している商品の内容を把握している

5. オフショア投資を見直すタイミング

ここまで、オフショア投資の基礎知識と個人投資家としてのチェックポイントを見てきましたが、読んでいく中で見直すべきであると感じているのではないでしょうか?

契約したときは流れのままに契約してしまったけど、今見直したら自分には必要ないと思った方もいるでしょう。また、各商品の仕組みを知って驚いている人もいるかと思います。

逆にいうと、しっかりとオフショア投資のことを理解してはじめている人は、すべての特性を知った上で投資をしているので、迷うことも特にありませんし、見直すタイミングもしっかりとわかっています。

そうでないのであれば、紹介者や代理店に無理やり契約させられて身の丈に合わない積立をやってしまっているかもしれません。投資は生活を苦しめてまでやることではありません。海外の商品で大きなリターンが期待できるからと言って安易に始めることでもありません。

もし、自分には必要ないというのであれば、損失を少なくするためには早めの行動が不可欠です。後々取り返しのつかないことにならないように、このタイミングで見直すことをおすすめします。