積立を数年で停止してはいけない理由

「積立は2年経てば停止することができる」という説明を受けて、とりあえず2年間だけ積立をしてその後は停止している人もいるかもいしれません。

停止後はそれまでに積み立てたお金で複利運用されるから問題ないという考えかもしれませんが、実はこれには罠があるのです。

確かに2年で停止することは可能ですが、将来の利回りを減らすことになってしまいます。デメリットばかりでメリットはありません。

1. 積立が停止できることはメリットになるのか?

積立停止ができることを謳っているということは、そこにメリットを感じている人が多いからと言えますが、本当にメリットかどうかはしっかりと検討することが重要です。

積立が停止できることによって、投資する側としては気軽に始めることができます。なんらかの理由で積立ができなくなってしまったときにいつでもストップできるのは心理的に負担が少なくなるのは事実です。

特に一般的な生活者にとって投資はどこか自分とはかけ離れた世界のように感じますが、少額で始められて最初の2年間だけ頑張ればいつでも停止できるというのはスタートのハードルがとても低くなります。

しかし、停止できることのメリットはこれ以外にはありません。

そして、このメリットが強調されすぎて積立投資の大前提の部分が軽視されがちになっています。

1-1. 満期まで積み立てることが大前提

そもそも積立投資は途中で停止したり解約するものではなくて満期まで積み立てることで将来大きなリターンを得ることができる商品です。満期まで継続することが大前提です。

しかし、満期まで積み立てるつもりでも何が起こるかわからないというのが人生です。そこで置かれているのが停止の措置で、積立がいつでも停止できるというのは何か特別な事情があったときにやむなく止めることができる、というスタンスのものです。

2. 積立を停止するデメリット

積立を停止するデメリットは大きく2つ挙げることができます。

  • 手数料が重くなる
  • 再開のタイミングを逃す

2つだけであれば、と思うかもしれませんが、この2つのデメリットが非常に重くのしかかってくるのです。

2-1. 手数料が重くなる

積立投資商品の手数料の構造は基本的にどこのプロバイダーも同じような仕組みになっています。この手数料の仕組みを理解すると、早期での積立停止が運用上不利になることが見えてきます。

積立が停止できるようになるのは、初期口座期間(最初に積立をしなければいけない期間)が終了してからになります。2年経ったら停止できる、という2年というのは初期口座期間が一般的に2年であることが多いため、わかりやすく2年と言われています。

この初期口座には6%の手数料がかかり、満期まで6%の手数料が発生し続きます。そして初期口座が終了すると貯蓄口座に積み立てていくことになりますが、この貯蓄口座に発生する手数料は1%前後と比較的低い料率になっています。

つまり、貯蓄口座にお金が貯まっていくほど相対的に初期口座の手数料率は下がっていくので、いかに貯蓄口座を増やしていくかが手数料を軽くするポイントになります。

例えば、初期口座期間の2年間が終了した時点で積立を停止してしまうと、いつまでも手数料は6%のままになり、高利回りを出すのは現実的に難しくなってしまいます。

最初の2年で積み立てたお金を複利で増やしていくことはできないということです。

2-2. 再開するタイミングを逃す

積立投資の特徴の一つに、毎月自動的に積立額が拠出されて知らないうちに積立ができてしまう、というものがあります。その都度投資するかどうか悩んでいるうちに機会を逃してしまいますが、勝手に投資されるとそれが習慣になってきて、積立をしていることすら忘れてしまいます。積立投資はそれくらいのメンタリティが丁度良いとも言われています。

しかし、一度積立を停止してしまうと自動で拠出されていたという習慣が損なわれてしまい、次に再開するタイミングを逃してしまいます。一度止めた後に再び毎月数万円以上の出費が発生するとなると、メンタル的にもしんどくなってしまいます。

停止をする前に「○ヶ月間だけ停止をして、その後は再開する」というように自分の中でルールを決めておかない限り再開は厳しいでしょう。

2-3. ドルコスト平均法の効果を得られなくなる

投資の考え方の一つに「ドルコスト平均法」というものがあります。

このドルコスト平均法は毎月一定の金額で投資を継続することで株や債券の買い付け価格を平均化させていくというものになります。

このこのドルコスト平均法は利回りが良い時も悪い時も継続して投資をすることで効果が得られるもので、良し悪しの判断をせずに投資を続けることで平均的に見たら儲かる可能性があるという手法で、優れている手法というわけではありません。

ただ、積立を停止してしまうとドルコスト平均法の効果すら得ることができなくなってしまいます。利回りが悪い時も投資を継続しなければならないというのはメンタル的に不安になりがちで、本当にこれで良いのか?と疑ってしまうことと思います。

しかしここに感情を入れてしまうと投資は失敗に終わってしまいます。

“投資のコツは感情を入れないこと”

という言葉もあるようにいかに何も考えずに継続するかがポイントになります。

3. 積立を停止すべきか否か?

積立を停止すればするほど不利になっていくことを解説していきましたが、停止する理由は様々でしょう。ここからはその理由は正当なものかどうか見ていきます。

3-1. 「経済的に積立が難しくなった」という理由

経済的に積立が厳しくなってしまったのであれば積立停止は止むを得ません。通常の生活に支障をきたしてしまっては元も子もありません。投資は経済的に余裕があり通常の生活が送れることが前提で行うものであり、借金をしてまでやるものではありません。

その後、積立を再開できる目処があれば一定期間の停止は良いですが、積立再開の目処が立たないのであれば、解約も視野に入れて今後について検討していきましょう。

3-2. 「期待していた利回りが出ない」という理由

期待していた利回りが出ないという理由で停止をする場合の判断として、

  1. IFAが優秀ではない
  2. そもそも高利回りを期待しすぎ

という2パターンがあります。

①のIFAが優秀ではないという場合は、後述するように優秀なIFAに変更することをおすすめします。しかし、②の高利回りを期待しすぎという場合は、あなたのオフショア投資に対しての認識が間違っていることもあります。

期待している利回りが10%、15%であれば、それはもう一度海外投資の概要をしっかりと理解することが重要になります。通常であれば、10%、15%の高利回りは期待できません。

3-3. 「IFAのサポートが悪い」という理由

IFAのサポートが充実していないと自分が行っている投資に対して不安になってしまいます。不安は投資には必要のない感情です。不要な感情が入ってしまうと得られる利益も無くなってしまいますので、できる限りの不安は拭いたいものです。

もし十分なサポートを得ることができないのであれば、IFAを変更することができますので、周囲でオフショア投資を行っている方などから情報を収集して優秀なIFAと契約することをおすすめします。

まとめ

積立の停止を検討している方にとっては、今一度、今後について考えるキッカケになったのではないでしょうか。自分は正しい運用ができているのか?認識は間違っていないか?投資に期待しすぎていないか?など、見直すべき要素はたくさんあったと思います。

根本的に「そもそも海外投資は必要だったのか?」というところから考え直してみましょう。